1164_天照皇大神(神奈川県川崎市幸区南加瀬)

南加瀬鎮座天照皇大神(あまてらすすめおおかみ)
鎮座地　川崎市幸区南加瀬九十番地
祭神　　天照大神　撞榊厳魂天疎向津姫命
　　　　天満在自在天神　誉田別命　市杵島姫命
　　　　白山比咩命　第六天神　石神
境内社　浅間社　弁戈天社　石神社　稲荷社
祭礼　　大祭　八月第一日曜日　元十月七日
　　　　元旦祭　祈年祭　勤労感謝祭　冬至祭
由緒沿革
　当社は鎌倉時代末期の元弘年間に建てられ、太田道灌がこの地に築城を企画して参籠した暁の夢に、東北の空に丹頂鶴の舞うのを見てそこに千代田城を築いたという由緒を持つ。また、明応の頃、小田原北条氏の祈願所となり、早雲の曾孫の氏政によって荘厳優美な八棟造の社殿が建てられ、毎月北条氏の代参を迎えて月並祭を執行した。しかし、北条氏の滅亡時、武蔵の兵の乱により、本殿下の石櫃のみを残して社殿および旧記のすべてを焼失した。
　のち、江戸時代、天保八年に村民が旧時を偲んで本殿と拝殿を再建し、次いで明治十七年社殿を改築、大正四年には神明神社・石神社をはじめとする村内五社を合祀して、冬至の日に星祭を斉行した。昭和三十六年には全社殿を修築し、大祭日を十月七日から八月第一日曜日に改めた。以後、昭和四十五年には正面に、五十年には東側に拝殿を増築した。
　昭和五十九年一月一日これを記す。
　　　　　天照皇大神氏子中

八幡社　(夢見ケ先ノ辺小名山崎ニアリ南向ノ小祠鎮座ノ初ヲ失ヘリ村持)
神明社　(北ノ方村境加瀬山ニアリ鎮座ノ始ヲ伝ヘス社前ニ拝殿アリ二間ニ二間半前ニ鳥居アリ社前ニ石階アリ高サ六丈ニアマレリ山ノ麓ハ打ヒラケタル平田ナレハコノ階ノ中ハヨリ安房上総ノ山々久良木郡本牧十二天ノ辺ヲ見オロシ眼界殊ニ澗相伝フ本社建シ所ノ途中ニ石櫃アリ結ニ一年修造ノオリ某所ヲホリテ見ルニ一枚ノ石ヲ得ルノミニテ外ニ出タルモノナシトイヘリイカサマニモ石櫃ナトアリヲ年久シキコトナレハ其破壊セシ片石タルニヤ定カナラス)
弁財天社　(前ニイヘル神明ノ山続キ西ノ方ニアリ石ノ小祠ナリ村持)
白山社　(前ノ祠弁天社ノ山ニツヽキテアリ小祠ニテ是モ村持)
第六天社　(是モ白山ノ並ヒニアリ石ニテ作レル小祠ナリ村持)
石神社　(西方ノ田間ニアリ村持チ)
神明社　(村ノ南東小名岩瀬ニアリ例祭九月十六日ナリ是ヲスヘテ鎮座ノ年代ヲ伝ヘス)
　末社稲荷天神合社　(社ニ向テ右ノ方ニアリ)
　稲荷社　(北ノ方矢上村ノ境ニアリ)
　稲荷社　(西ノ方村境ニアリ)

由緒沿革　　当社は古く元弘年間の勧請で、康正・長禄の頃、太田持資入道道灌此地に一城を築かんと企画し、屡々本社に祈願を籠めた。一夜参籠の暁東北の空天に丹頂の舞うを夢み、其の処に一城を築いた。それが江戸城であるが、其の曲浦を舞鶴の入江と名附け、城を千代田城と称うのは、本社丹頂の霊夢に因るという。当社鎮座地の東南小字名を太田道灌夢見ヶ崎と呼ぶのはこの故である。其の後明応・大永の頃相州小田原北条氏の祈願所となり、北条氏政によって別に歯救？？山神社の一社を勧請した。祭神は白山比売命、社殿は八棟造で荘厳を極め、月次北条氏より代参があって祭事を執行したと伝えるが、天正年間武蔵兵乱の際荘厳優美を尽したる社殿、旧記、記録等悉く灰燼に帰した。降って天保八年村民旧時を偲び、大いに工を起して本殿及拝殿を再建し、明治十七年更に拝殿を改築、大正四年村内無格社五社を合祀した。此の年十二月冬至の日村民氏子諸人の司宰(うしは)く星神の祭事を行ない現在に至る。新編武蔵風土記「南加瀬村」の項に「神明社、北の方村境加瀬山にあり、鎮座の始めを伝へず。社前に拝殿あり、二間に二間半。前に鳥居あり。社前に石階あり高さ六丈にあまれり。（中略）本社建ちし所の土中に石櫃あり、云々」と記されている。